魔導書がプロシーンで使われる理由

 最近プロの試合を見ていると、明らかにソロキューより解放の魔導書が使われる割合が高いのである。では実際どのぐらいの割合で魔導書が使われているのだろうか。以下の表を見てみよう。

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 これは先週プロの試合で使われたルーンの割合を示した表である。全ロールの魔導書の割合を足すと122%となり、1チームに1人は魔導書を持っているという計算になる。なぜここまでプロシーンで魔導書が評価されているのか、まずは魔導書の効果を振り返る。

魔導書の効果

 魔導書の主な性能としては以下2つである。

  • モナースペルのクールダウン短縮(CDR)25%
  • 試合中にサモナースペルを交換できる。

 まず一つ目のサモナースペルのCDR25%は、同じ天啓のスキルツリーにある宇宙の英知と組み合わせるとCDRが30%となり、フラッシュのCDが5分から3分45秒まで縮まる。さらにアイオニアブーツとも合わせるとCDRが40%となり、CDを3分にまで縮めることができるという大きな恩恵がある。

 2つ目のサモナースペルの交換については、試合の状況に応じてサモナースペルを変更することで、序盤のレーン戦や後半の集団戦を優位に進めることができる。

 では、各ロールでどのような使い方をするのか見ていこう。

トップでの運用

 メレー vs レンジのマッチアップのときにメレー側が試合開始時にイグナイトを持つ場面がよく見られる。これは序盤でのガンクによるキルプレッシャーを相手に与えるためであり、レーンの有利を簡単に渡さないようにできる。また、タワーダイブを受けた際にもイグナイトによるキル交換を狙えるという点でも相手にとっては脅威である。そして集団戦が起きそうなタイミングになったらテレポートに変更する。

 また、スマイトを試合開始時に持つことも見られる。これにより最初のブルーバフのリーシュを助けジャングル回りを早くすることができる。

 ブラッドミアに関しては序盤のイグナイト、スマイトに加え、集団戦時にテレポートではなくゴーストにすることがよく見られる。これはより敵のバックラインに入り込みやすくなり、キャリーへのプレッシャーを作ることができるためである。

ミッドでの運用

 ミッドではライズゾーイマルザハールの3チャンピオンでよく魔導書が使われる。序盤テレポートにすることでレーンに素早く戻る、または意表を突いたエンゲージを行うことができるという恩恵がある。集団戦の時間帯に入れば、テレポートをゴーストクレンズに変えることで集団戦で力を発揮しやすくなる。また、特にライズやマルザハールにとってはフラッシュのCDRによる恩恵が大きく、フラッシュインCCによるガンク合わせやエンゲージによるプレッシャーが非常に高まる。

ADCでの運用

 ADCで魔導書を使う理由は、序盤をテレポートにし、ミニオンウェーブまたはレーンコントロールを失わないためである。特にシヴィアとは相性が良く、何回もリコールしテレポートで戻ってくることで序盤のマナ不足を解消し、常にレーンをプッシュすることができる。

サポートでの運用

 サポートでは以下の使われ方がある。

 

  • トップと同じように試合開始時にスマイトを持つことででジャングラーを助けることができる。
  • タムケンチやシェンといったグローバルUltをもつチャンピオンに対しテレポートで対抗するために持つ。
  • 序盤イグナイトでレーン戦でのキルプレッシャーを高め、集団戦に入ったらイグゾーストに変更する。
  • タムケンチの場合終盤に入るとピックアップの対象となるので、それを防ぐためにクレンズを持つことがある。

 

 以上、魔導書の有効性についての話は終わりである。この記事を読んだうえでプロの試合を見ると今までとは違ったことに気付けてより観戦が面白くなるかもしれない。

 

 

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NA LCS 2018情報まとめ

さて、ようやくNA LCS 2018の情報が確定してきたのでまとめていきたいと思う。

 

 参加10チームとロースター

 Team SoloMid

 Hauntzer, MikeYeung, Bjergsen, Zven, Mithy (左から)

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 Golden Guardians

 Cloud9

 Licorice, Svenskeren, Jensen, Sneaky, Smoothie

www.youtube.com

 FlyQuest

 Echo Fox

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 Clutch Gaming

 100 Thieves

 Team Liquid

 Impact, Xmithie, Pobelter, Doublelift, Olleh

※右半分はTSMだが気にしてはいけない

 OpTic Gaming

 Zig(赤), Akaadian(青), PowerOfEvil(黒), Arrow(矢), Lemonnation(黄)

 Counter Logic Gaming

 Darshan, Reignover, Huhi, Stixxay, Biofrost (左から)

 

スケジュール

 NA LCS 2018では日本時間毎週日曜&月曜日午前6時半にPre-game Coverage(現順位等話す時間)を始め、午前7時に試合のドラフトを開始する。

 配信はLolesports公式ページTwitchYouTubeの3つのサイトで行われ、Twitch配信に関しては2017シーズンで使用していたNA LCSチャンネルではなく、Riot Gamesチャンネルを使用する。

  そして気になる開幕戦の日時と対戦カードは以下の通り。

日本時間1月21日(日)

午前7時

Team Liquid vs Team SoloMid

午前8時

OpTic Gaming vs 100 Thieves

午前9時

Golden Guardians vs Clutch Gaming

午前10時

Echo Fox vs FlyQuest

午前11時

Counter Logic Gaming vs Cloud9

 

フォーマット

  NA LCS 2018ではBo3からBo1へと変更する。変更理由は以下である。

  •  Bo3よりファンが多くの試合を消化できる
  • ファン・チーム・選手から2チャンネル配信より1チャンネル配信の方が良いというフィードバックをもらった
  • ファンがチームをより深く知る時間が生み出せる
  • 試合の開始時間が安定する
  • チャンピオンのピックの幅が広がる

 

以上。また新しい情報が入り次第更新する予定。

 

NALCS情報ブログ (@Sato_Suzuki_NA) | Twitter

100 Thievesとは?

 NALCS新規参入チーム紹介 Part2ということで、本記事では100 Thievesを紹介していく。

 

NALCS情報ブログ

画像:100 Thievesのロゴ

 

 おそらくこの記事をみているほとんどの人が100 Thieves(以下100T)という名前を初めて耳にしたことだろう。実は100TはNALCS参入前はアパレルブランドだった。ではなぜそんなチームがLoLに参入できたのかというとオーナーのNadeshotの影響である。

 

Nadeshot

 Nadeshotは前記事で紹介済のOpTic Gamingに所属していた非常に有名で人気のあるプロCoDプレイヤーだった。2010年からOpTicでのキャリアをスタートし、数々のタイトルを獲得してきた。しかしCall of Duty Championship 2015でOpTicが7位という成績に終わったのち突然引退を表明し話題になった。引退した理由は、「勝つというより負けないためにプレイしていた。そのことがチームの足を引っ張ていると感じた。」と下の動画で語っている。

 

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 引退後しばらくはOpTic所属のままストリーマーをしていたが2016年に脱退し、新たに100 ThievesというCoDチームを立ち上げた。しかしこの挑戦はCall of Duty World Leagueで最下位に沈んだことにより終わりを告げ、アパレルブランドとして再起することになった。

 

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画像:ストアで売られているフード。盗賊という漢字にセンスを感じる。

 

 

資金面

 NALCSに参入するためには資金面も考慮される。そこで今回の100Tの参入に投資した人物が、NBAチームCleaveland CavaliersオーナーのDan Gilbertである。彼はミシガンで最も裕福な人であり、数百万ドルを100Tに投資した。これだけの投資を受けたNadeshotはそのことを動画で発表しており、その重圧と緊張が表情を見ただけで伝わってくる。

 

www.youtube.com



来シーズンのロースター

 そんな新チーム100Tの公式発表されたロースターがこちらである。

Top: Ssumday

Jungle: Meteos

Mid: Ryu

ADC: 

Support: Aphromoo

 

 来シーズンを迎えるうえで如何にファンを手に入れられるかが重要になってくる。そういった点では人気プレイヤーのMeteosとAphromooの加入、さらにはNadeshot自身のYoutuber登録者が約300万人もいることは非常に大きい。

 

 25歳の若さでNALCSチームのオーナーとなったNadeshotが、その重圧を跳ね除け100Tを常勝チームにすることを期待しよう。

 

OpTic Gamingとは?

本記事では新たにNALCSに参入するOpTic Gaming(以下OpTic)とはどのようなチームなのかを簡単に触れていく。

 

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画像:OpTic Gaming ロゴ

 

 OpTicは2006年夏にCall of Duty (CoD)のチームとして結成され、今ではCS:GO、Halo、Gears of War、Dotaといった複数の部門をもつeSports界で最も成功を収めているチームの一つである。以下に2017年に獲得したタイトルを記す。

 

CoD部門
2017 Call of Duty World League Championship 1st
2017 CWL Global Pro League Stage 2 1st
2017 CWL Dallas Open 1st
2017 CWL Paris Open 1st
CS:GO部門
2017 CS:GO ELEAGUE Season 2 1st
Halo部門
2017 Halo World Championship 1st
GoW部門
MLG Las Vegas Open 2017 1st
MLG GameBattles 2K Series NA 1st
Gfinity Paris Open 2017 1st

 

 

 OpTicはやはりCoD部門が最も人気があり、非常に熱狂的なファンにサポートされている。これはオーナーであるHector “H3CZ” Rodriguezの意向「大会賞金に頼らず生活していけるチーム作り」をするために、多種多様なグッズを販売したりスポンサーを獲得したりという努力が実を結んだ結果である。実際CoD部門からはScumpとNadeshot(現100 Thievesオーナー)というファンに愛されるスターが生まれ、一時期結果が残せなかった時期でさえも熱狂的な応援は絶えなかった。

 

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画像:CEO, Hector "H3CZ" Rodriguez

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画像:CoD部門キャプテン, Seth "Scump" Abner

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画像:元キャプテン, 現100 Thievesオーナー, Matthew "Nadeshot" Haag

 

 

そんなOpTicの来シーズンのRoster予想は以下となっている(Reddit参照)。

 

Top: Zig
Jungle: Akaadian
Mid: PowerOfEvil
Adc: Arrow
Supp: Lemonnation

 

 更にはゼネラルマネジャーとして元UoLのRomain(コスプレしてたおじさん)を雇ったことも発表された。

 


複数の部門にわたって結果を残せているのは、優秀な選手やサポートスタッフの獲得、快適なゲーミングハウス、選手のメンタルケア等のeSportsのノウハウを把握しているからに他ならない。これらを生かして現存の強豪チームに対してどれだけ戦えるか見物である。

 

OpTic Gaming HP (http://optic.tv/)

 

 

筆者の雑談;

私のeSports観戦の始まりはCoDでした。OpTic Gamingのことが大好きで応援してましたが、まさかこのような形でLoLに参入するとは夢にも思っていませんでした。さらにはNadeshotの100 Thievesも参入することになりワクワクが止まりません。次回はその100 Thieves(主にNadeshot)について記事を書こうかなと考えております。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

佐藤鈴木